公正なSES企業では、エンジニアが適切に評価され、キャリアアップを実現することができます。しかし、SES企業の中には問題のある企業も存在するため、企業選びの際は慎重に検討する必要があります。
注意すべきSES企業の特徴
問題のあるSES企業では、エンジニアの待遇が悪く、人材が定着しないため、悪循環が生じています。以下のような環境には注意が必要です。
- 労働環境が過酷
- 評価制度が不明確か、存在しない
- 違法な偽装請負を行っている
- 還元率が低い、または単価が公開されない
- 案件の商流が深い(例:4次請け、5次請け)
長時間労働や過重労働の強要、理不尽な案件への従事、給与面での不利な条件が押し付けられることもあります。このような企業に就職すると、精神的および肉体的に追い込まれるリスクがあります。
公正なSES企業を見分けるポイント
近年では、SESエンジニアの労働環境改善に取り組む公正なSES企業が増加しています。では、どのようにして公正な企業を見極めればよいのでしょうか。以下のポイントを確認してみましょう。
創業年数や主要取引先の特徴
システム開発や運用案件においては、商流が深くなるほど労働環境が悪化する傾向があるため、主要取引先を確認し、どのようなプロジェクトに関わっているかを調べることが重要です。
また、創業年数も重要な指標です。創業間もない企業や営業力の弱い企業では、直接取引が難しく、低単価で商流が深い案件に従事するケースが多く見られます。
単価や報酬の透明性
SESエンジニアの給与は、案件単価に還元率を掛け合わせて決定されます。このため、単価や還元率、報酬体系が明確に開示されている企業が信頼できます。特に、還元率の計算方法が不明確な企業には注意が必要です。
最近では、案件単価に基づいて報酬が決まる「単価連動制」を導入している企業も増えているため、納得のいく条件で働きたい方には注目すべき点です。
適切な評価制度の有無
SESではエンジニアが顧客先に常駐するため、評価が不透明になりがちです。しかし、公正なSES企業では、スキルの評価基準が明確に設定されており、定期的にフィードバックを受ける仕組みが整っています。昇給や昇進の基準が明示されている企業であれば、エンジニアはキャリアパスを描きやすく、前向きに仕事に取り組むことができるでしょう。
公正なSES企業でのキャリアパスと年収アップの事例
ここでは、SESエンジニアが目指すことができる代表的なキャリアプランを紹介します。
- SESエンジニアとしてスペシャリストやジェネラリストを目指す
- 常駐先企業への転職
- フリーランスや起業して独立する
SESエンジニアとしてスペシャリストやジェネラリストを目指す
まず、特定分野のスペシャリストを目指す道があります。SESエンジニアの需要は今後も高水準で推移すると予測されており、AIやブロックチェーン、データサイエンスなど、成長分野に特化することで高い評価を得ることが期待されます。
一方ジェネラリストは、幅広いスキルを活かしてプロジェクトに関与するエンジニアです。多様な業務をこなすことに興味がある方には、ジェネラリストの道も魅力的でしょう。
常駐先企業への転職
常駐先企業への転職も一般的なキャリアパスです。常駐先企業からオファーを受け、エンジニアが転職するケースは少なくありません。エンジニアは企業の雰囲気や業務内容を理解した上で判断できるため、双方にとって有益な選択となることが多いです。
ただし、一部のSES企業では、エンジニアの転職を制限する規定を設けている場合もあります。転職の権利はエンジニアにあるため、事前に契約内容を確認しておくことが重要です。
フリーランスや起業して独立する
経験やスキルを活かしてフリーランスや起業を目指すエンジニアも増えています。フリーランスになると、自分の理想の働き方に合わせて案件を選ぶことが可能です。また、フリーランスは、一般的に会社員よりも高い収入を得られるケースが多いです。
SESエンジニアの年収例
SESエンジニアの年収はスキルや経験、勤務地域、案件の種類などによって異なりますが、一般的には以下の通りです。
年齢 | 平均年収 | 月収 | 賞与 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 339万円 | 25.4万円 | 35.1万円 |
25~29歳 | 445万円 | 30.6万円 | 77.2万円 |
30~34歳 | 533万円 | 35.8万円 | 103.0万円 |
35~39歳 | 573万円 | 38.7万円 | 108.0万円 |
ただし、特に優れた技術力を持つエンジニアや高単価案件に携わるエンジニアは、同じ経験年数でもさらに高い年収を得ることが可能です。高還元の企業に所属することで、収入アップを目指すことも現実的です。