高還元SESとは?

本来の意味は「エンジニアに高い報酬を還元する」制度・姿勢

高還元SESとは、SES企業が掲げる「エンジニアに高い報酬を還元する」とする制度・姿勢を指す言葉です。表面上は「還元率〇〇%」など、給与面の魅力を強調しているように見えますが、その実態は「還元率」の定義や計算方法が企業によって大きく異なり、必ずしもエンジニアに高収入が保証されているとは限りません。

還元率とは本来、「クライアントから得た報酬のうち、エンジニアに支払われる給与の割合」を示すものでした。しかし、通勤交通費や有給費用、研修費用といった「その他経費」までも含めて還元率を演出する企業が登場し、実質のエンジニア給与と乖離した「水増し還元率」が横行するようになりました。

したがって、企業を選ぶ際は「高還元SES」という言葉だけで選ぶのではなく、本当に高還元のSES会社なのか、「正直な高還元SES会社」を見極めることが重要です。

まずは、自分の目で確かめたい! 正直な「高還元SES会社」
3つの見分け方

還元率
曖昧さはないか?

パーセンテージに惑わされず
「高還元」の仕組みをひも解く
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『還元率』に曖昧さはないか?
社会保険料や諸費用の内訳が
不明確な会社には注意

例えば、還元率65%の企業で単価が100万円なら、65万円が還元金額=給与になる、と考えるのが一般的です。しかし、還元率に社会保険料の企業負担分や福利厚生費用など、本来エンジニアが負担しないはずの費用を含んで曖昧にしている企業も存在します。

最悪の場合、エンジニアが還元率の内訳を確認しないことを利用し、「還元率90%」と謳いながらも、曖昧な内訳によって30%分が差し引かれ、実際に支払われるのは60%程度に留まることも考えられます。「還元率=エンジニアが受け取る額面」として透明性を保っているホワイトな企業を選ぶには、数字だけに惑わされず、「高還元」の内訳をよく確認することが重要です。

待機100%保証
強調していないか?

表には出てこない「待機100%保証」の裏側の問題点を知る
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『待機100%保証』と強調していないか?
保証対象を具体的に
示していない会社は注意

待機100%保証という言葉に、「待機中も収入の心配をしなくて済む」と安心感を覚えるかもしれません。しかし、これを強調する会社には要注意。保証の対象は基本給のみで、稼働日に発生する常駐手当が含まれていない場合があります。また、常駐手当は、会社によって「歩合給」や「諸手当」といった名称で書かれているケースもあります。

さらに、待機期間中の基本給「100%保証」が、実際はボーナス用の積立金から補填されている場合があります。このため、待機が発生すると積立金もボーナス額も減ることになります。

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『待機100%保証』と強調していないか?

例えば、月給50万円で毎月15万円を積立金とする場合、ボーナスは満額で年間180万円です。しかし、稼働5ヵ月目に待機が発生した場合、積立金60万(15万×4ヵ月)のうち50万円が基本給として補填され、残額は10万円に。待機が続けば、積立金不足分が稼働再開後のボーナス積立額(毎月15万円)から返済される…と、裏側に複雑な仕組みが潜んでいる可能性があるのです。

仮に待機がなくボーナスが満額180万円なら、月単位で計算すると還元率は65%ですが、「業績悪化」や「評価」によりボーナスが減額される場合、実際の還元率はさらに低くなる可能性があります。還元率と同様に、「何が保証対象なのか」を明確に把握し、曖昧な仕組みには注意しましょう。

実態がつかめる
透明性のある会社か

主要取引先現職社員の声から
信用度を測る
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実態がつかめる『透明性』のある会社か
「取引先企業名」の開示は大前提

「主要取引先」を確認することで、業界からの信用度だけでなく、その会社が扱う案件や商流の深さが判断できます。取引先にエンド企業・元請けが多い場合は商流が浅く、案件単価が高いと推測されます。

一方で、取引先が不明な会社は商流が深く、仲介会社が多い(中抜きが増える)ため単価が低い傾向があります。この場合、たとえ「還元率80%の高還元」と謳っていても、中抜きが多く単価が低ければ支払われる額は期待できないということになります。

また、現役社員の声からは、実際に働いている人にしかわからない社内の雰囲気やエンジニアの職場環境を確認できます。特に、SNSなどで定期的に情報を発信している会社は、「透明性を重視している」という選択基準にもなります。

『還元率』の定義が
はっきりしている
『待機保障』の対象となる
項目が明確
『透明性』の高い
会社情報を開示している
これが、エンジニアが安心して働ける正直な「高還元SES会社」3条件!

エンジニアとしてキャリアや年収を向上させるためには、「高還元」という言葉だけに惑わされず、明確な報酬設定を開示している「SES会社」を慎重に検討しましょう。
上記で紹介した3条件に加えて、以下ではエンジニアが現場を変えたい時のポイントや、世間に広がる業界のネガティブな噂を調べています。新たなキャリアパスの参考にしてみてください。

「SES会社=準委任契約」であり、
派遣会社とは報酬の⽀払い方法や、
指揮命令権の所在が異なる
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そもそも「SES会社=準委任契約」であり、派遣会社とは報酬の⽀払い方法や指揮命令権の所在が違います!

派遣契約とは異なり、準委任契約では支払いの内訳を開示する義務がありません。そもそも「マージン率」という定義がないため、「還元率」という会社ごとに定義の異なる表現となっているのが現状です。また、還元率に含まれる数値が不明瞭になりがちで、業界内でも問題視されています。「高還元だと思ったのに、実際は全く違っていた」と悩むエンジニアが多いのもこのためです。

そして、派遣契約の指揮命令系統は「現場(常駐先)→派遣契約のエンジニア」となり、準委任契約では「現場(常駐先)→管理者→作業者」でなければなりません。これは、常駐先に対してエンジニア1人での契約となる派遣契約に対し、準委任契約は「管理者と作業者の2名1組」の契約が必須だからです。

つまり、SESでは常駐先に指揮命令権がなく、エンジニア(作業者)に直接指示することはできません。それにもかかわらず、現場で業務命令を受けたり、作業時間を拘束されたりする場合は、偽装請負の可能性を考慮すべきです。

波風立てずSES案件から
抜けたい場合

タイミングは「契約更新時」が良いでしょう。できれば事前に準備を進めながら自社の営業担当者に相談し、「案件から抜けたい」という意思を明確に伝えてから、後任者への引き継ぎを速やかに調整してもらいましょう。トラブルを避け、穏便に退く方法を考えることが得策です。

SES案件が決まらない!
焦りと不安の解消法

待機期間の過ごし方は、エンジニアの未来を左右する重要なポイント。案件が決まるまで、報酬アップに向けた自己研鑽に励むエンジニアも多くいます。情報収集や資格取得の勉強など、この期間をキャリアアップのための「スキル習得時間」と捉えると、精神的にも有益です。

SESの案件ガチャを
チャンスに変えるコツ

SESにとって「案件ガチャ」は避けがたいものかもしれません。一方で、案件を通して技術を向上させ、レベルも報酬も高い「理想の案件」を少しずつ手にする人もいます。予測困難な案件配属によるミスマッチを防ぐためにも、自己アピールできる武器を掴みましょう。

転職でSES会社を変えた人たちの声

K.Cさん
バックエンド開発者
K.Cさん
納得できる働き方を求めて転職

バックエンド開発者のK.Cさんは、同僚の紹介で現在の職場を知り、2022年1月に入社。転職の理由は、労働環境やキャリアパスの改善を求めてのことでした。

前職との働き方の違い
役割が変わり、働き方も変化

前職では、設計からテストまで一貫して担当し、残業は月に20時間ほどでした。現在は、要件定義の資料作成や開発者への説明、顧客や派遣先社員からの質問対応などが主な仕事です。

さらに、今はプロジェクトの調整が可能ということもあり、残業は月10〜15時間に減りました。忙しいプロジェクトでも、何か事情があれば営業担当者に相談して、可能であれば変更を検討してもらうことができます。エンジニアの中には、「給料を上げるために残業を増やしたい」という人もいると思いますが、そうした要望にも応えてもらいやすい環境で働けています。

年収アップの一番の要因
マージン率が下がったこと

前職では500万円でしたが、転職後は620万円、さらに最近は660万円に上がりました。入社4年目から適用可能な「プロ契約」に移行すれば、年収は760万円程度にアップする予定です*。これが実現できたのは、やはりマージン率の低さでしょうね。前職のマージン率が40%台後半だったのに対し、現在は32〜33%にまで下がったことが明らかな理由です。

私は「転籍」という形で、前職からプロジェクトを引き継いで転職しました。その際、プロジェクト先の担当者から、「(今の会社の)給与還元率が高いので、単価を下げたい」という交渉があり、実は単価が4万円ほど下がったのですが、それでも給料は上がりました。マージン率の違いが、いかに報酬に大きく影響するかということを実感しています。

*2024年9月取材時点
K.Iさん
組み込み開発者
K.Iさん
実績が評価され
キャリアアップを実現

K.Iさんが「ブログ記事」をきっかけに現在の会社に入社したのは2017年4月のこと。ハードとソフトの両面から技術を高め続け、実績が高く評価されるごとにキャリアを前進させています。

前職との働き方や年収の違い
同じ単価で
年収100万円アップ

いくつかの現場を経験しましたが、残業が月40時間ある現場もあれば、少ない現場もあり、現場によってまちまちでした。今は、ほぼ残業なしです。年収に関しては大幅に変わりました。前職では約540万円でしたが、直近では700万円+αに。同じ単価にもかかわらず給料に100万円以上も差が出るのは、マージンの違いが影響しているんだなと実感しました。

「高還元SES」の公正性を
見極めるポイント
取引先企業のチェックが重要

SES会社を選ぶ際は、取引先企業の懐事情によってエンジニアへの単価が異なるので、資金力のある企業と取り引きしているかを確認することをおすすめします。

ちなみに今の会社では、基本的に契約が決まってから入社する形を取っているので、事前に案件の単価を教えてもらうことができます。自分であらかじめ給与計算ができるので、入社するかどうかの判断材料にもなります。エンジニア自身が、報酬に関わる詳細を目で確かめられる透明性のある会社なら、安心して転職できるのではないかと思います。

ちなみに私が入社したときは対応スピードがとても速く、問い合わせてから1日か2日後には返事がきて、面接をして、入社が決まって…と、とんとん拍子に進みました。もともと派遣会社で組み込みの仕事をしていたこともあり、即戦力と考えてもらえたのかもしれません。

年収の変化による
プライベートへの影響
マイホームを購入できた

年収が上がったことで、旅行に行く余裕もできましたし、子供に物を買ってあげたり、習い事をさせてあげたりできるようになりました。入社当初は子供がいなかったので、お金の使い道がなく貯蓄がメインでしたが、子供が生まれてからはマイホームを購入することもできました。年収アップによって叶えられることが増えたのは良かった点ですね。

Y.Hさん
ソフトウェア開発者
Y.Hさん
収入が増えて精神的にも余裕ができた

ソフトウェア開発者のY.Hさんは、待遇改善を求めて2020年4月に現職へ転職。同僚の紹介で入社し、収入増により精神的余裕が生まれ、仕事や自己研鑽にも積極的になったそうです。

前職と今で違う働き方の変化
自分の裁量で働けるようになった

1日の流れはほぼ同じですが、残業が大幅に減りました。前職では平均すると月40時間くらい、多い時は80時間という月もありましたが、今は多くても20時間くらい、平均では10~15時間程度です。裁量が大きくなり、スケジュールを自分で調整できるので無理なく働けています。

残業が減った分、時間に余裕ができたので副業を始めました。副業で得た知見は本業にも活かせていますし、自発的にやりたかった仕事ということもあって前向きに取り組めています。

収入の変化について
給与還元率が変わり大幅にアップ

前職では年収330万円ほどでしたが、転職直後は仕事内容に大きな差がないにもかかわらず450万円に上がりました。その後は750万円程に変わりました。この収入の変化の理由は、給与還元率と商流です。前職は三次請けでしたが、今は直請けなので、マージンで抜かれていた部分が全て自分に入ってくるようになったんです。

今の会社では、入社4年目から選べる「プロ契約」という制度によってボーナスが支給されるようになったので、直近では収入がさらにアップしています。

収入アップによるプライベートへの影響
生活が安定し精神的な余裕ができた

少しお恥ずかしい話ですが、転職前は毎日のランチに500円以上払うのすら迷う程だったんです。私だけでなく、給与の低いSES会社で働くエンジニアあるあるかもしれません(笑)。ですが、今はランチ代も気にせず楽しめるようになり、貯金や自己投資にもお金をかけられるようになりました。

貯金ができないどころか、切り崩す生活は、焦るし苦しいものです。不安から仕事に集中できず、パフォーマンスが落ちてしまうストレスもあると思います。収入が増えることは、心に余裕ができて、仕事にも好影響を与えることだなと実感しています。

インターネットで検索されている「エンジニアが絶対に行くべきではない常駐先一覧」に関連する記事には、“エンジニアが回避したい”環境の特徴やリスクの多い現場のことが書かれています。ここでは、当メディアが独自に調査した「4つのポイント」紹介します。

メディア監修株式会社リツアンSTC

国内技術系企業
「待遇面満足度」第1位*
2007年からエンジニアへの
高還元を貫く技術者集団
いきいきと生きる人を増やす
株式会社リツアンSTC 野中 久彰 代表取締役
株式会社リツアンSTC野中 久彰 代表取締役

リツアンSTCが掲げるのは、エンジニアの搾取をなくし「1円でも高い報酬を支払う」こと。そして、会社を出入り自由のコミュニティの場とし、「エンジニアが会社を使う」存在であることです。情熱を持って人生にも仕事にも、前向きに挑戦し続けるエンジニアを全力で応援しています。

*参照元:Openwork公式「待遇面満足度ランキング」(https://www.openwork.jp/company_list?field=&pref=&src_str=&sort=3
※ランキングは前年1/1~12/31までに投稿された社員・元社員のクチコミデータを集計したものです。(2024/10/30調査時点)
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